大坂城に残された時間は、もうわずかだった。
外堀は埋められ、頼みの防御は削られ、兵の数でも劣る。
そんな絶望的な状況の中で、一人だけ違う景色を見ていた男がいた。
それが、真田幸村である。
彼はただ守るための戦いを考えてはいなかった。
籠城して耐えれば、いずれ勝てる――そんな甘い見通しは持っていなかった。
むしろ、はっきりと理解していたはずだ。
「このままでは、いずれ滅びる」と。
だからこそ彼の思考は、最初から“攻め”にあった。
しかもそれは、ただの反撃ではない。
戦の流れそのものをひっくり返す、一撃必殺の勝ち筋。
その答えは、あまりにもシンプルだった。
敵の総大将――
徳川家康を討つこと。
戦国の世において、総大将の死は戦の終わりを意味する。
どれだけ大軍であろうと、指揮官を失えば統制は崩れる。
豊臣方が生き残る道は、もはやそこにしかなかった。
幸村は、その一点にすべてを賭ける覚悟を決めていた。
だが問題は、どうやってそこに至るかだった。
徳川軍は圧倒的な兵力を誇り、守りも堅い。
正面から突撃しても、途中で押し潰されるのが関の山。
だから彼は考える。
戦場の“流れ”を読む。
人は、勝っていると油断する。
押していると、前に出過ぎる。
その一瞬の隙――そこに活路がある。
幸村が描いたのは、誘い込む戦いだった。
一度押され、崩れたように見せ、敵を引き寄せる。
そして、その最も深く踏み込んできたところで、一気に牙を剥く。
狙いはただ一つ。
家康の本陣へ一直線に突き刺さること。
それは防御でも、持久戦でもない。
まさに“賭け”だった。
だが、その賭けには理由があった。
幸村は知っていたのだ。
数で劣る者が勝つには、確実な一手など存在しないということを。
あるのは、すべてを賭ける一瞬だけ。
そして彼は、その一瞬を自ら作り出そうとしていた。
燃え尽きるように戦う覚悟。
その先にしか、道はない。
次回――
その覚悟が、ついに現実となる。
ただ一つの勝利条件。
すべては、あの男の首へ。
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