2026年3月22日日曜日

大坂夏の陣シリーズ ⑧ 真田隊突撃、家康本陣を震え上がらせた瞬間

真田隊突撃

ただ一つの勝利条件、徳川家康の首――

その結論は、あまりにも明確で、そしてあまりにも無謀だった。

豊臣方に残された道は、もはや一つしかない。
天下人その人を討ち取ること。

そして、その役を引き受けた男がいた。

真田幸村――日本一の兵と呼ばれた男である。

戦場は、すでに混沌としていた。

豊臣方は押し込まれ、各所で崩れ始めている。
しかしその中で、ただ一つだけ異質な動きがあった。

赤備え。

統率された、鋭い刃のような部隊。
真田隊が、静かに、そして確実に前へ進んでいた。

狙いはただ一つ。

徳川家康の本陣。

その距離が縮まるごとに、空気が変わる。

ただの一部隊ではない。
あれは“目的を持った軍”だった。

止まらない。
迷わない。

ただ一直線に、中心へ――。

徳川方の兵たちも、それに気づき始める。

「まさか…本陣を狙っているのか」

ざわめきが広がる。
そして、それは恐怖へと変わっていく。

真田隊、突撃。

その瞬間、戦場の流れが歪んだ。

押されていたはずの豊臣方の中で、
たった一か所だけ、逆流が起きる。

赤い波が、すべてを飲み込みながら前進する。

槍がぶつかり、
叫びが交錯し、
土煙が空を覆う。

その中心で、真田幸村は前を見ていた。

あと少し――。

その距離は、確実に縮まっていた。

徳川家康の本陣。

そこは決して破られるはずのない場所。
幾重にも守られた、安全圏のはずだった。

だが、その常識が崩れ始める。

「近い…!」

家康の周囲にも、動揺が走る。

本陣が、揺れている。

絶対であるはずの場所が、
今まさに“戦場の最前線”へと変わろうとしていた。

この一撃で、すべてが終わるかもしれない。

あるいは、すべてが変わるかもしれない。

ほんのわずか。

あと一歩。

だがその一歩が、
歴史の中で最も遠い距離でもあった。

――そして物語は次へ進む。



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