高杉晋作の戦いシリーズ① 風のように現れた男
あの人は、最初から少し違っていたのだと思う。
長州の空は、どこか重たかった。
武士は武士らしく、農民は農民らしく。
誰もが決められた枠の中で、生きている時代。
その中に、
高杉晋作 という男がいた。
彼もまた武士だった。
けれど、その心は、どこか枠の外にあった。
真面目に生きることが、正しいとされる時代。
でも彼は、どこかで思っていたはずだ。
「このままで、本当にいいのか」
まだ若かった晋作は、剣を学び、学問を学び、
そして時代の空気を感じ取っていた。
外の世界では、何かが起きている。
日本の外側で、大きなうねりが動いている。
それを知らないままで、
この国はこのままでいいのか。
答えは、まだなかった。
ただ一つ、確かなものがあった。
それは、違和感だった。
決められた身分。
決められた役割。
決められた生き方。
そのすべてに、
小さなヒビのようなものを感じていた。
風はまだ吹いていない。
けれど、確かに空気は変わり始めていた。
そしてその中心に、
静かに立っていたのが——
高杉晋作という男だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿