2026年3月18日水曜日

大坂夏の陣シリーズ② 倍の兵力、十五万の徳川軍が迫る恐怖


まだ戦は始まっていない。

だが、恐怖だけはすでに始まっていた。

豊臣方の前に迫る現実――
それは、圧倒的な兵力差だった。

来るべき戦、大坂夏の陣。

徳川方が動員した兵は、およそ十五万五千。
対する豊臣方は、七万八千。

倍。

ただそれだけの言葉では片付けられない重みがあった。

一人が二人を相手にする。
それが戦場のすべてで起きるとしたら――

どれほどの圧力になるのか。

しかも、その相手は寄せ集めではない。

天下を掌握した男、 **徳川家康のもとに集った大名たち。

長き戦乱を生き抜いてきた歴戦の武将、 統率の取れた軍勢。

そのすべてが、一つの目的のために動いている。

豊臣を、滅ぼす。

その圧力は、まだ姿を見せる前から、 確実に大坂へと押し寄せていた。

城下に漂う空気が、どこか重い。

兵たちは口数を減らし、 町の人々もまた、何かを感じ取っている。

遠くから聞こえてくるような、 見えない大軍の足音。

それはやがて、現実のものとなる。

野を埋め尽くす軍勢。
旗が林のように立ち並び、 その数は目で追いきれない。

十五万という数字は、 ただの数ではなかった。

それは「圧倒」という形を持った現実だった。

対する豊臣方は、その半数。

戦う前から背負う重圧。
逃げ場のない戦い。

それでも、引くことはできない。

この時代において、 戦わずして生き残る道は、もう残されていなかった。

静かに、しかし確実に迫る徳川軍。

その影は、すでに大坂城**のすぐそこまで来ていた。

まだ剣は交わっていない。

だが、この時点で――
戦はもう始まっていたのかもしれない。

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