気づけば、都の空気はすっかり平家のものになっていた。
朝廷の中枢には平家の人間が並び、
重要な役職も、決定も、流れも――
すべてが自然と彼らを中心に回っていく。
もはや、無視できる存在ではなかった。
というより、「避けて通れない存在」になっていた。
平清盛は、その中心に立っていた。
武士でありながら、朝廷の中で力を持ち、
貴族社会の中に深く入り込んでいく。
それは、それまでの時代にはなかった流れだった。
娘を天皇のもとへ嫁がせ、
ついには、外祖父として権力の頂点に近づく。
「武士がここまで来たのか」
そんな驚きとともに、
平家の存在は、都の“当たり前”になっていった。
けれど――
光が強くなればなるほど、
その影もまた、濃くなっていく。
平家が栄えれば栄えるほど、
その外にいる者たちは、少しずつ距離を感じ始める。
貴族たちの中にも、
「どこか行き過ぎているのではないか」
という空気が、静かに生まれていた。
そして武士たちの間にも、
言葉にはならない違和感が広がっていく。
力は、確かに手に入れた。
けれどその力は、
すべての人に歓迎されているわけではなかった。
ほんのわずかな歪み。
まだ誰も、それをはっきりとは口にしない。
けれど確実に、
何かがずれ始めていた。
そしてその小さな違和感は、
やがて無視できない流れへと変わっていく。
――頂点に立ったその瞬間から、
物語は、静かに次の局面へと進み始めていた。
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