歴史の中で、
「負けたのに伝説になった」戦いがある。
それが、
関ヶ原の戦い。
西軍が崩れ、
戦場の流れが決まったその時。
一つの部隊が、常識外れの行動に出る。
率いていたのは、
島津義弘。
薩摩の武将である。
普通なら降伏する。
あるいは逃げる。
だが島津軍は違った。
敵中突破。
正面から東軍本陣へ突っ込むという、
常軌を逸した撤退戦。
これがいわゆる「退き口」。
数百とも言われる兵で、
数万の東軍の中を突破する。
討ち死に覚悟の突撃。
立ちはだかったのは、
井伊直政ら。
名だたる猛将たち。
島津軍は、
捨て奸(すてがまり)という戦法を使う。
少数がその場に残り、
命と引き換えに追撃を食い止める。
一人、また一人と倒れ、
その間に本隊が前へ進む。
美談か、狂気か。
評価は分かれる。
だが結果として、
島津義弘は生還する。
西軍敗北の中で、
薩摩は家を保った。
「薩摩隼人最強伝説」は、
勝利ではなく、
この撤退戦から生まれたのかもしれない。
戦に勝つことだけが、
強さではない。
退くべき時に退き、
生き延びる。
関ヶ原の戦場で、
最も熱かったのは、
敗軍の中を進んだ薩摩だったのかもしれない。
歴史は勝者が作るという。
だが時に、
敗者の背中が伝説になる。
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